夜光貝の紹介
下記の内容は、長年の観察から導き出したSeamam独自の見解です。
学術的に正しいかは定かではありません。
※注意
最近ネット上で、小さな個体を『採捕』・『販売』・『加工』している画像を多く見かけます。
資源保護の観点から、生体重量1kg以下・貝殻重量600g以下の夜光貝を、捕らない・売らない・買わないようにしていきましょう。
<分布域>
日本国内では、種子島・屋久島・トカラ列島以南、奄美群島・沖縄本島周辺を中心に、八重山諸島までの温暖な海域に生息。
海水温が同じでも小笠原諸島には生息していない
国外での分布は、図鑑などでインド太平洋に分布とあるが、海外で夜光貝(国産の夜光貝と同種)の情報が無いため、海外での本種の生息状況は不明。
<生態>
腹足目リュウテンサザエ科に分類される大型の巻貝 サザエの仲間で最大種
海藻類を主な餌とし、発達した珊瑚礁や、外洋に面した岩礁域などに広く生息する。夜行性で、暗くなると餌を探すために活発に動き回り、昼間はくぼみなどに隠れて動かない。
・生息する水深は、2~20mぐらいまで。
・10㎝以下の幼貝は、潮間帯(潮が引くと干上がる場所)のくぼみや、岩のすき間で1日中身を潜めている。
・大型のフグ類や甲殻類、エイなどから身を守るために、生体重量が1kgぐらいまでは、複雑な地形やくぼみを中心に生活する。
・生体重量が2kg以上にもなると外敵もいなくなり、開けた岩棚や深場に出てくる。
『かいそう』が餌と言っても、ワカメのような『海草』ではなく、藻のように生える『海藻』の方。
下の画像、濃い褐色の部分や緑色の苔のような物が主な餌となる海藻。
胃の内容物を見ると、褐色の藻類の他に、茶色や緑の短い海草、石灰質の成分を多く含む石灰藻など、様々なものを食べている。
また内容物のほとんどが、砂のように細かく削り取られたサンゴ礫を含む。
成長が速く、貝殻が大型化するためには、積極的に貝殻の主成分である『炭酸カルシウム』を摂取する必要があるのかもしれない。
飼育下ならキャベツでもバナナの葉っぱでも何でも食べる。
ただ、栄養価が足りないのか長生きはしない。
画像の個体は5年目ぐらいの成貝(1kgほど)。
<成長>
・初夏~秋にかけて、大潮時や潮の流れが速い場所で数匹が集まり放卵放精を行う。
・孵化して2年で2cmほど、3年でピンポン玉ぐらい、4年でソフトボールぐらいまで成長。
・孵化から5~6年で1kgを越え、8~10年で2kg、15年以上で3kgを超える個体もいる。
・貝殻の劣化具合から推測すると20年以上は生きるのではないかと思われる。
・重量500~600g(4年目)を超えたあたりから、産卵に参加できる。
上記はおおよその平均であり、環境や餌の量、個体差などで成長率が大きく変わる。
平均の倍以上のスピードで成長するものや、十年かけても1kg未満の個体も多く存在する。
<夜光貝の食べ方>
貝柱の部分は薄切りにして刺身やバター炒め。
足の部分はとても固いので、圧力鍋で煮物や千切りにして味噌漬け等に。
刺身は生でもおいしいですが、半ボイル程度に火を通すと甘みが増して食べやすく衛生的です。
内臓も食用可能ですが、胃や腸は砂がみがひどく、細菌の心配があるので、きれいに洗う必要があります。
肝と呼ばれる生殖部分は緑色が雌の卵で、クリーム色が雄の精巣です。
肝はコクがあり、香り付けにも使われます。
但し、肝はアクが多少強いので、しっかり火を通してアク抜きをしたほうがいいでしょう。
食あたりを防ぐためにも、夜光貝に限らず『大型の貝の内臓を食す』ことはお勧めしません。
<生食には注意が必要>
捕ってから3日以内の元気な状態なら、生の刺身も非常においしく安全ですが、出どころや日数が不明のものは生食はお勧めしません。
また、捌いて1日経ってしまうと、身はしぼみ、生臭さが出てしまうのでバター焼きなどがお勧めです。
今まで食中毒などは聞いたことがありません。(島では)
ただ、夜光貝は傷みやすく、取り扱いが雑だと、生きながらに身や内臓が腐ってくることがあります。
『10日以上活かしてある』
『炎天下や30度以上の場所で保管や移動をした』
『船の生け簀など酸素が十分でない場所に長期保管』
『伊勢エビなどと一緒に保管』
以上のような場合は、生食は控えたほうがいいでしょう。
内臓や筋肉が部分的に腐敗している場合があります。
また、1週間以上餌を食べないと身が痩せてしまい味が悪くなってきます。
<貝の利用・歴史>
貝殻は昔から国内外で螺鈿(らでん)などの細工に利用されている。
奄美大島の1400年前頃の遺跡からは、大量の夜光貝の貝殻が出土し、貝匙(かいさじ)を製作していたと考えられている。
これらは、日本本土に運びこまれ、珍重されていた。
現在でも、螺鈿細工の材料として、また身近なアクセサリーとして利用されている。
注※
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